Z世代が熱中する「応援広告」の魅力とは
Z世代の間で今、熱狂的な支持を集めている「応援広告」。韓国アイドル文化からスタートしたこの新しい「推し活」である「応援広告」は、日本でも大きなトレンドとなっています。
Z世代にはよく知られる応援広告ですが、”「応援広告」って何?” “どうしてZ世代に人気があるの?”とまだまだ疑問に思っている方も多いかもしれません。
今回はZ世代のトレンドレポート第1弾として、その流行の背景や魅力に迫り、応援広告の世界を探ってみます!
応援広告とは?
応援広告(センイル広告)とは、そもそも何のことか基本から解説すると・・・
応援広告とは、特定のアイドルなどの「推し」を応援するために制作される広告のことで、一般のファンが費用を出し合って共同で出稿する点が特徴です。
日本では2019年のサバイバルオーディション番組「PRODUCE101 JAPAN」が行われた頃から広まりはじめ、今では多くのファンがこの新しい推し活の形に参加しています。
応援広告の歴史と背景
応援広告(センイル広告)の発祥は韓国のK-POPアイドルファン文化にあります。「センイル」とは韓国語で「誕生日」を意味し、韓国ではアイドルの誕生日やデビュー記念日に、ファンが自費で広告を出して応援する文化が根付いています。
この文化がK-POP人気の拡大とともに日本に伝わったことが、応援広告が日本で注目されるきっかけとなりました。日本のファンも、自分の推しを祝いたい、もっと多くの人に知ってもらいたいという思いから、応援広告を出すようになっています。今では、誕生日やデビュー記念日、周年記念、ライブ記念、新曲発売記念など、さまざまなタイミングで応援広告が出され街中でも見かけるようになりました。
Z世代に広がる応援広告の魅力
LINEヤフー株式会社がLINEユーザーを対象に実施したスマートフォンWeb調査によれば、10代の85%、20代の76%が「推しが今、いる/ある」と回答しています。このデータからわかるように、Z世代の大多数には推しが存在します。
出典:LINEリサーチ
応援広告の魅力は、「ファンが推しをお祝いしたい」「もっと多くの人に知ってもらいたい」という純粋な想いを形にできることです。応援広告は、いわばファンから推しに贈るプレゼントのようなもので、推しへの愛を具体的に表現する手段のひとつです。さらに、応援された推しが現地に足を運んだり、応援広告に対する感謝をSNSで発信したりすることもあります。応援広告は、SNS時代におけるファンと推しとの新たなコミュニケーションの形ともいえるのではないでしょうか。
応援広告の展開場所と形態
応援広告はさまざまな場所で展開されており、その形態も多岐にわたります。
以下に主な展開場所と形態を紹介します。
駅広告
駅の壁面広告やデジタルサイネージに広告を掲載する方法です。多くの人々が行き交う場所であるため、広範囲にリーチできます。特に都市部の主要駅では、通勤・通学客など多くの人々の目に触れるため、効果的です。
アドトラック
広告をのせたトラックを走らせる方法です。またタクシーの車体をラッピングするサービスもあり、移動する広告媒体として、特定のイベントや場所に合わせて展開できます。アドトラックは、特定のエリアを走行することでターゲット層に直接アプローチできるため、注目度も高いです。
カフェ広告
カフェで提供されるカップホルダーや店内のポスターなどに広告を掲載する方法です。特に、推しの誕生日や記念日に合わせてファンが集まる場所として人気があります。カフェ広告は、ファン同士の交流の場としても機能し、コミュニティの絆を深める効果があります。
SNS広告
X(旧Twitter)、TikTok、InstagramなどのSNSプラットフォームで広告を展開する方法です。Z世代にとって非常に親和性が高く拡散しやすい媒体です。SNS広告は短期間で多くの人々にリーチできるため、効果的なプロモーション手段となります。
応援広告が盛り上がる理由
応援広告が盛り上がる理由は、いくつかの要因に基づいています。
コミュニティの強化
応援広告を出すためには、ファン同士が協力して資金を集め広告を制作する必要があります。この過程自体が一つのイベントとなり、ファン同士の絆を深めるきっかけとなります。また、広告が実際に掲載された際には、その広告を見に行くことが一種の「聖地巡礼」となり、ファン同士の交流を深める場もなります。
SNSでの拡散
応援広告はSNSで拡散されやすく、多くの人にリーチすることができます。応援広告に参加していないファンも、推しの応援広告への関心が高いため、特定のハッシュタグがトレンド入りするなど、ファンがさらに盛り上げようとする動きも見られます。これにより、”界隈”だけでなく、より広範囲の人々にその情報が伝わっていきます。
クラウドファンディングの利用
応援広告を出すための資金集めにクラウドファンディングを利用することで、多くのファンが参加しやすくなります。支援者はリワード(特典)を受け取ることができるため、広告制作に参加する動機が高まります。この仕組みによって、広告に対する熱意が増し、結果的に盛り上がりが生まれます。
応援広告はK-POPアイドルだけ?
K-POP文化と密接に繋がっている応援広告ですが、日本では現在、K-POPアイドルだけでなく、J-POPアイドル、アーティスト、アニメキャラクター、VTuber、YouTuberの応援広告も多数登場しています。
一部のタレント事務所から広告に使用可能なタレントの画像素材の提供やガイドラインの発信が進んだことを背景に、さまざまな「推し活界隈」で応援広告を出しやすい環境が整いつつあります。
また、
●Cheering AD(株式会社ジェイアール東日本企画 jeki応援広告事務局)
●FUN FLAG(株式会社東急エージェンシー/READYFOR株式会社)
など、広告制作や出稿をサポートする企業も増えており、今後ますます手軽に応援広告を出稿するファンが増加していくのではないでしょうか。
応援広告のデザインの特徴とは
応援広告のデザインには、ファンの想いを効果的に伝えるための特徴があります。ここでは代用的な3つの要素を紹介します。
ビジュアルのインパクト
大型ビジョン広告や駅広告など、街中で目立つ場所に掲出される応援広告は、ビジュアルのインパクトが重要です。鮮やかな色使いや大きなフォントを用いて、遠くからでも目を引くデザインになっています。また、「推し」を多くの人に知ってもらいたいという布教の意図もあるため、大きく「推し」の画像が使われていることも特徴です。
ターゲットに合わせたデザイン
応援広告を出す対象となる「推し」のイメージに合わせたデザインが重要です。たとえば、明るくポップなイメージのアイドルにはカラフルでかわいいデザイン、クールでスタイリッシュなアーティストにはモノトーンやシンプルなデザインが選ばれます。
推しの名前
応援広告では、「推し」の名前を大きく文字で入れることも特徴です。さらに、アピールしたい推しの作品や情報、#○○○などのハッシュタグも含めることで、ファンが推しの活動を広めやすくなります。このような文字情報を加えることで、通行人にもその情報が届きやすく、推しへの認知度を高める効果があります。
「応援広告」を活用したプロモーションアイデア
「応援広告」が人気なのは分かったけれど、一般消費者が広告主となるなら、企業としてはできることはないのでは・・・?と考えがちですが、Z世代の定番になりつつある「応援広告」の流行をうまく企画に活用することで、Z世代に親和性の高いプロモーションを展開することができます。
例えば、
1. 応援広告風のデザインで展開する
企業(公式)が応援広告風のデザインをあえて採用した広告やPOPを展開することで話題を生むことができます。例えば、製品のプロモーションを応援広告風にデザインすれば、Z世代にとっては「応援広告風」であるという点が関心を持つポイントになり、自然とSNSでの拡散を促すことができます。
2. 自社のコンテンツ(キャラクター)を活用して盛り上げる
自社のコンテンツの応援広告用ガイドラインや素材を公開することで、ファンによるコンテンツの盛り上げを狙うことが可能です。公式素材を提供することで、ファンが自由に応援広告を作成しやすくなり、その結果、ブランドやキャラクターの認知度が向上します。
3. 応援広告を応援する
応援広告を出すファンの心理に寄り添い、推し活をサポートする商品やアイデアを取り入れることも、「推し界隈」と親和性が高いサービスの場合は考えられます。例えば、応援広告を出すためのクラウドファンディングをサポートするプラットフォームを提供したり、広告制作に必要なツールや素材を提供することで、ファンの活動を支援します。
4. ファンが参加できる広告を企画
商品広告を掲載する際に、ファンによる投票で実際の広告を決めるなど、ファンが一緒になって「推し」の広告を作るという体験を提供することがファンとの絆をより深めるきっかけになります。
このように、応援広告をヒントにアイデアを出してみると、Z世代に響くプロモーションを展開することができるのではないでしょうか。ファンの熱意とクリエイティビティを活かし、企業も一緒になって盛り上げることで、より強力なマーケティング効果が期待できそうです。
応援広告のまとめ:販促・マーケティング担当者に知ってほしいこと
応援広告は単なる推し活の手段ではなく、ブランドとファンが共に作り上げる新しい共創体験でもあります。
推しに対してファンの熱意と創造力は大きなエネルギーを持っています。
「推し=アイドル」だけではなく、推しコスメ・推し家電・推しスイーツなどさまざまな「推し」が存在します。この「推し」×「応援広告」のトレンドをうまく活用することで、Z世代とのつながりを強化し、ブランドの魅力をより多くの人々に伝えることもできるのではないでしょうか。
誰かに「推されてる」商品・商材があるというマーケティング担当者の方は、応援広告をヒントにぜひ取り入れてみてください!
Z世代向けの空間デザイン&プロモーションならビーツ!
ビーツはZ世代に人気の「nugu」をはじめとしたさまざまなZ世代向け店舗・ポップアップストアを担当しています。Z世代が集まる空間のデザインはもちろん、プロモーション企画なども幅広くサポートいたします。Z世代をターゲットにした企画をご検討の際は、ぜひお気軽にご相談ください。
詳しくはぜひビーツHPの事例をご覧ください。